「日本美術の中で子どもがどう表現されてきたか」/
「美術の中で子どもたち」展

 「これまでほとんど取り扱われてこなかったといっていいのでは」 と、この 10月 2日〜11月 11日東京国立博物館で開催される 「美術の中で子どもたち」 展を前にしてこの展覧会の企画部長、宮島新一さんは語る。
 昨今の親子関係、子どもにまつわる問題が深刻化していることから、これまでの 「子ども像」 を見直す機会にしようというのがこの企画を取り上げたひとつの理由。
 もうひとつ、この 4月より同博物館が独立法人化し、新しく誕生して最初の企画展であることから、もう一度子どもに還ってスタートしたいという願いもこめられている。

 展示品は縄文時代から江戸時代までの長いスパンの中から国宝、重要文化財を含む約 180点が選ばれている。伴大納言絵巻など、普段目にする機会の少ないも貴重なものも含む。

 4つのテーマに分類され、第 1部は 「こどもの世界」 とし、子供たちが表現された作品を展示。 さまざまな子供たちの表情やしぐさに心が和む内容。 第 2部は 「成長するこども」。 豊臣秀頼が 8歳で書いたとされる書、子どものためにつくられたさまざまな生活用品、絵草子、など。
第 3部 「親の願い」 では子どもに託した親の思いが偲ばれるものを展示。わが子を肖像画に描いたもの、彫像にしたものなど、死別した子を惜しんで作られたものも。縄文時代の足型、手形を捺した粘土板などもある。 第 4部 「聖なるこども」 では、子どもの純粋さに視点を当てた作品を並べる。古来日本では子どもの持つ生命力や無垢なイメージに現世を超えた存在を見ようとする傾向があった。 国宝・興福寺の八部衆や信貴山縁起絵巻などが出展される。

 面白いのは特別展示として近代の作品が出展されること。有名な岸田劉生の 「麗子像」 と横山大観の 「無我」 の 2点だが、どちらも子どもを題材にしながら、作家の自己表現がなされている。

 またこの展示はNHK、NHKプロモーションとの共催企画 「上野 秋の展覧会 2001」 のひとつということになっている。他に国立科学博物館の 「日本人はるかな旅展」 東京都美術館の 「聖徳太子展」 が同時期開催され、 3館共通のお得なチケットも発売される予定。どちらもNHKスペシャルなどのリンクさせて楽しめる番組が用意されているということだ。

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