侵入盗、増加する一方/その原因と対策

 過去10年間で犯罪件数のうちのおよそ8割を占めるのが窃盗犯。その件数は年々増えており、減少する様子をみせていない…。
 去る6月23日水道橋の住宅金融公庫スマイルホールで開催された「住まいと防犯〜侵入犯罪からわが家を守る〜」のセミナーで、その実態と対策について警視庁生活安全対策部による講演が行われた。

 これまでは景気の影響などから犯罪件数はゆるやかな波を描いていたが、昨今その波は上昇する一方である。その主な原因としては、

↑植栽が侵入者に好都合な
隠れ場所にならないように


 ・在日外国人による犯罪の増加
 ・少年犯罪の凶悪化
 ・地域のコミュニケーション度の希薄化
 ・インターネット、携帯電話の普及により、相手の顔の見えない関係が一般に浸透している
 

などが上げられる。

 侵入されやすいのは、「駅から半径500m以内」「4階建以下」「管理人室がない」「比較的新しい」「小規模」との条件を備えたマンション。そういった条件から、ワンルームやコンパクトな部屋の件数が多いので、独身者や共働き夫婦の世帯が主で日中留守の可能性が高い、駅から近いのは逃走経路が得やすい、地理に疎い外国人も下調べしやすい…などの理由が浮ぶ。

 主な手口は、ガラス破りが63%、そして意外にも無締り(施錠していないために侵入される)が21%もある。
 このところよく聞かれる、ピッキング(特殊工具を使用してカギを開ける)による侵入犯罪は、ここ1〜2年の間にピッキングによる被害が多発しているためにマスコミでクローズアップされているが、侵入被害での占める割合はわずか2%未満にすぎない。しかしピッキング犯罪は現実には毎日起きており油断はできない。

 講演では「まずカギかけなど」“基本的な用心”をするようにと呼びかけた上で、今まで当たり前と思ってきた次のポイントをチェックするようにとのことだった。
@居住者の防犯意識を高めること。
 これまでの治安意識「日本は安全だから。カギをかけているから。近所の目があるから。等」からくる油断をしない。近所同士声をかけあうことは防犯の第一歩として大事なこと。特に高齢者や身障者の方に一声をかけよう。マンションのオートロックも朝夕の人の出入りが多い時間帯に居住者と一緒に通り抜けられるので過信はしないこと。
A住宅環境の整備
 プライバシーを守ることに気をとられすぎて、犯人の隠れ場所をつくっていないか。
B破壊やピッキングに強い錠前の設置
C防犯設備

 基本は戸締りだが、家の弱点に合わせた防犯設備を取り付ける。
                     ☆
 侵入による被害は金品だけに限らない。居留守をしていて犯人とはち合わせし、空き巣が強盗になってしまうこともある。部屋を荒らされて心理的な恐怖が抜けないというケースもあった。

 これからは欧米式に「自分の命、財産は、自分で守る」という意識が求められているようだ。

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