10月6日〜11月11日 没後30年 志賀直哉展


■休館日=10月 9・15・22・29日、11月 5日
■時 間=10:00〜18:00 (入場は17:30まで)
■場 所=世田谷文学館 (世田谷区南烏山 1−10−10)
■本展内容=没後30年を記念して、志賀直哉の人と文学を中心に、
世田谷にゆかりのある 「白樺」 や志賀山脈の人々、近隣の芸術家等
との交流を原稿、書簡、創作ノート、絵画、写真等約300点の資料を展示し、志賀直哉の精神世界を紹介します。

■監 修=阿川弘之 (作家)
■入場料=一般 500 (400)円、65歳以上・中小生 200 (160)
  円、大高生300 (240)円
 ※( )内は20名以上の団体料金。障害者割引制度あり。
■問合せ=TEL.03−5374−9111


【世田谷新町の頃 昭和13〜22年】
 昭和12年の「暗夜行路」完成と全集発刊後、25年ぶりに東京に戻った直哉だが、2年間の市内生活に疲れ、胆石を患う。奈良での生活を懐かしむように、世田谷新町に家を求める。そこは、かつてソローの「森の生活」(挿絵:リーチ)に憧れて半自給自足の生活を営み、後に成功した木工家・林二郎が暮らしていた地であり、近隣には多くの文学者が住まう地であった。

《展示資料》
 ◎日記(昭和14年〜23年)→世田谷の家のこと、交友関係のこと
 ◎世田谷新町時代の写真
 ◎『灰色の月』原稿ほか関連資料
 ◎『蝕まれた友情』原稿ほか関連資料
 ◎世田谷ゆかり作家についての直哉の著作
 「『光子』の著者」 (網野)、「革文函」 「松川事件と広津君」(広津)、
 「映画展望」 (昭和22年1月号野尻・伊丹)ほか
 ●尾崎一雄「志賀直哉訪問記(1〉」(都新聞昭和15年1月27日)
  →志賀邸関連
 ●瀧井孝作「志賀さんの生活など」→志賀邸関連
 ●世田谷文学者マップ(昭和15〜22年)

《展示作家》
○世田谷ゆかり作家
青野季吉(宮坂)網野菊(北沢)安倍能成(代田)小堀杏奴(梅丘)
谷崎精ニ(桜)徳永直(宮坂)中野重治(桜)中村白葉(桜新町)長与善郎(北沢)野尻抱影(深沢)平野謙(喜多見)広津和郎(豪徳寺)船木重雄(上馬)間宮茂輔(世田谷)三上秀吉(経堂)武者小路実篤(成城)森茉利(代沢)
○この時期の関係作家
尾崎一雄、瀧井孝作

《その他の展示資料》
 ●青野季吉「「暗夜行路」について」 (季吉世田谷在住時期のもの)
 ●中野重治「「暗夜行路」雑談」 (重冶世田谷在住時期のもの)
 ●宮本百合子「伸子』 (百合子が世田谷駒沢に移った大正15年に完成〉『二つの庭』 (『伸子』における『暗夜行路』について)
 ●広津和郎 「志賀直哉論』
 ●平野謙「文学草紙」(昭和14年10月1日号「『暗夜行路』発表年譜」志賀宅保存版)

【志賀直哉と世田谷の芸術家たち 昭和13〜22年】
 戦時下の態勢で、多くの文学者が協力的になっていった頃、直哉は沈黙を守った。この頃の直哉は、よく絵を観に行き、描いている。
「つまり、それを描くとき志賀さんの眼には、見えている対象の美しさだけがあって、動く手に他人の表現方法・技巧が全く入ってこないのである。」 (藤枝静男「志賀さんの油絵」)

【晩年の生活 昭和23〜46年】
 世田谷新町の家は戦災を免れたものの、一家親族の同居となり手狭のため、直哉は熱海の山荘へ移る。世田谷時代の記憶を絡めながら、熱海での静かな生活での出来事を描いた「山鳩」や唯一の戯曲「秋風」等を発表。尾道以未14、5回住まいを変えていた直哉は、昭和30年渋谷常盤松に腰を落ち着ける。

第2会場(2階常設展示室)
【志賀直哉空想動物園】
 直哉の動物好きは良く知られるが、世田谷在住時期に執筆された作品には、生き物が数多く登場する。兎や山鳩、猫や山かがし、そして最愛の犬「クマ」の死についてなどである。
 直哉が飼っていた動物たちは、犬のゴン・ジロウ・クマ・ナカ・米、狸、羊、猿、兎、山羊、スッポン、亀、文鳥、目白、アヒル、七面鳥、尾長鶏、鳩、カラスなどだが、これほどの種類の動物を育て、ともに暮らした作家は稀であろう。
 そして、これらの動物はただ飼われるだけではなく、直哉の作品と結び付きをみせる場面がある。例えぱ、世田谷へ転居する一年前に発表された短編「クマ」では、迷子になった愛犬 「クマ」を偶然捜し出すのだが、その確立は「二十万千六百分の一のチャンス」であり、「仮に偶然としても只偶然ではなく、それに何かの力の加はつたものである事は確かだ」と感じる。
 『城の崎にて』『 焚火』以来の偶然と必然、不可思議な生といったテーマがそこにある。

《展示資料》
  ◎世田谷時代の作品
  (『兎』『山鳩』『虫と鳥』『猫』『玄人素人』「『三つのお話』はしがき」)
  ◎限定本『動物小品』(昭和41年)
  ◎志賀直哉と兎の写真(世田谷時代/昭和21年)
  ◎直哉の娘たちと飼っていた猿の写真
  (京都・山科の自宅/大正13年)
  ◎鳥籠の前に立つ直哉の写真(熱海・大洞大の自宅)
  ◎直哉と愛犬ゴン・ジロウの写真(熱海)
  ◎上高畑の加納和弘家そばで犬・ヨネと(昭和2年)の写真  他

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