原作である小説 『白鯨』 は、巨大な白い鯨に片足を奪われ復讐心に燃えるエイハプ船長と、彼の捕鯨船に乗り込んだ青年イシュマエルの心理・行動を軸にして、善と悪、自然、文明と歴史について等の鋭い考察と、飽くなき冒険の意志と絶えざる原始的なカへの賛歌が描かれている、とされています。
このテキストを元に、世界を股に掛けて活躍するリアン・イングルスルード氏が、燐光群のメンバー達とどのような劇空間を創造するか、大いに期待されます。
リアン・イングルスルード氏は、燐光群が‘98年に行った
『神々の国の首都』 アメリカ・ツァーで翻訳
・通訳スタッフとしてツアーを支え、また、翌年坂手洋二がニューヨークで演出した
『くじらの墓標』 では英語版リーディングを翻訳し演出にも協カしています。
本作品のオリジナル・プロダクションはすでに昨年に初演されており、また、ジュノー
(アラスカ) のリージョナル ・シアターにて上演されていますが、小説で描かれている世界に加え、アメリカの捕鯨の歴史と伝統、さらにアラスカの伝統捕鯨についての考察をも包括する、現代的な視点をもった作品として、高い評価を受けています。
日本版では、アラスカから日本の状況に照準が変わります。
メルヴィル文学の世界そのものを描くのと同時に、小説の時代性にとらわれない現代的なメソッドを用いつつ、ダンスや喜劇性を伴った音楽劇としての要素をふんだんに盛り込むものとなる予定です。
和太鼓や俳優のコラポレーションの要素も含め、「ビュー・ポイント
」「スズキ・メソッド」 などの身体特性を重視した独自のコンセプトが築かれます。
|