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シェークスピアやりたかった ・演出・出演の柄本明
読売新聞13・12・22夕刊記事より
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「祝祭劇、仕掛けて遊ぶ」
東京乾電池25周年記念公演
「夏の夜の夢」
劇団東京乾電池が結成二十五年を迎え、劇団員総出演の「夏の夜の夢」を、ニ十七日から一月九日まで、東京・下北沢のザ・スズナリで上演する。シェークスピア作品の演出・出演に初挑戦する代表の柄本明に聞いた。
東京乾電池は、オンシアター自由劇場を辞めた柄本が、綾田俊樹、ベンガルと「泥臭くてくだらない芝居」を志し、一九七六年に設立。即興的なコントで人気を集め、高田純次、角替和枝、広岡由里子らの個性的な俳優も送り出してきた。八〇年代半ぱからは、日常の中の非日を切り取った岩松了作品やチェーホフ劇に挑み、演劇的な世界を広げている。
この間、岩松や高田、広岡は退団していった。「元々ゆるーい関係で、ベタべタせず自由にやってきた。やりたくなけれぱ辞めてもかまわないという感じだった」と淡々と振り返る。
記念公演に「夏の夜の夢」を選んだ理由も、ユニークだ。「一度シェークスピアをやりたかった。それから、大人数が出られる芝居だから」。三人で旗揚げした劇団も、今では総勢約五十人。節目の年は全員で舞台を、と企てた。
「キャパシティーのある祝祭劇だからいろいろ仕掛けられるし、遊べると思った」と柄本が言うように、上演作は、古代神話の英雄からアテネ市民、さらには森に住む鷲たちまでを巻き込んで繰り広げられるフ
ァンタスティックな喜劇。演出の最大のポイントは言葉。福田恒存訳を使うが一部に原文を混ぜ、「ちゃんぽんの面白さ」を狙う。
「誤解される言い方かもしれませんが、僕らのやってるのはアマチュァ演劇。だから学芸会みたいに思いツきを大事にして、遊ぴの精神の中から何かチャーミングなものが見えてくれぱいい。福田さんの、今風でも平易でもない翻訳の方が、その狙いが浮かぴ上がって面白いと思った」
柄本自身は団塊の世代だが、学生運動やアングラ演劇とは無縁だった。「演劇論は戦わせない」という約束で始めた劇団が追求し続けるのは、このアマチュア精神だ。将来の展望を尋ねても、「考えていない」と本気とも冗談とも読めない表情で煙に巻く。
「僕が演劇をやろうと思ったのは三十年ぐらい前。早稲田小劇場の舞台がきっかけだった。スタイルは非常に芸術肌なのに、歌謡曲をバックに俳優が六方を踏んで出てきたりする。芸術性と大衆性の行ったり来たりのバランスが良くて、笑えたんです」
スズナリの五つの搬入ロをすべて使い、劇中歌も入れる記念公廣で、その遊ぴ心がどう示されるか。柄本が妖精の王オーベロン、角替が妖精パック、そして綾田とべンガルが職人のクインス、ポトムを演じる。
03・3476・1490 →公演日程・時間
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