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桃園会『のたり、のたり』
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桃園会は1992年、京都にて旗揚げされ、2002年をもって10周年を迎える。主宰であり作・演出の深津篤史は、1998年第42回岸田國士戯曲賞を
「うちやまつり」 で受賞。
現在の活動は主に大阪で東京公演は今回で4度目である。
上演する『のたり、のたり』は暴力的なまでの愛の物語りである。初演時、関西語で書かれたこの戯曲は演じる役者の肉体を通して発せられた時、人間の関係性という深い闇の断層を残酷なまでに描き出し、それでもなお、それを乗り越えようとする人間の姿を愛しく美しく描いて好評を得ました。
好きな女に会う口実に自分の身体を傷つけ、死んでしまった男・100円と、少し頭の弱い女・トロとの奇妙な純愛者語が、酒と薬とセックスに浸る若者群像を背景に描かれ阪神大震災の後逸症ともいうべき精神の空虚感が腔えている。
今、混迷の時代にあって、この哀しいまでにひたむきな愛の物語りが時代を生きる我々の一筋の光明となるべく、ここに再演いたします。
人と人とカ関わる事、舞台となるさびれた海辺のアパートの一室から、その意味を深く問いたいと考えます。ささやかで、あまりに愚かで、世界にとって取るに足らない出来事であるけれど、激しく求めあう彼等の姿が現代社会を写す鏡となり、演ずる者、観る者の自省と救済になることを願ってやみません。
大きく世界力激動する今であるからこそ、大上段にかまえず市井の視点から人が人を愛する意味を考えたいと思います。
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