見えない食卓を前に、見えない朝食をかこむ彼等に一体何が起こったのか/劇団離風霊船『SUBJECTION2002』

*劇団について

 今年結成20周年を迎え、常に、ユニークな発想と奇想天外な舞台仕掛けで注目を浴びている劇団離風霊船。
 どちらかというとファンタスティックな作品の多い伊東由美子と、現実に起きた事件をモチーフに「時世」に切り込んでいく社会派的な作品の多い大橋泰彦の2人の座付き作家を有し、その書き下ろし作品を上演しています。
 どちらも、笑いのあるスピーディーな展開の中、心に深く突き刺さるテーマをった構成で、そこに劇団員全員の知恵と労力を費やした、オリジナリティー溢れる舞台装置が絶妙な効果をかもしだしています。
 昨年は、主人公の中に多くの他人が入り込むというモチーフで、最近起きた地下鉄事故を背景に、日々風化する出来事に対して、大橋流のレクイエムを描きました。

 今回は20周年を記念して、いままで御支緩いただいたお客さまへの感謝を込め、またまだ一度も御覧いただいたことのないお客さまと出会いの場となるよう、人場料を格安に設定しての企画となりました。

*今回の作品について

 1994年に初演した作品を、2002年版として改作。
 テーマは「人間関係学」あるいは「しがらみ」。遺伝子工学や量子力学が、その立場から、一見無秩序に見えるこの世界の「原則」を、明確に提示しはじめている今、芝居でそれに取り組んでみようとした作品。
 劇中劇シーンでは、劇団離風霊船の名場面も挿入した、スペシャル版になっております。

*今回のあらすじ

 とある朝、とある劇場に、次の日から本番を控えた劇団が到着した。
 劇団員はいつもの手順で大道具、小道具を運び込もうとしたが、そこには1組の家族が食卓を囲んで、舞合を占領していた。
 しかし、その家族とおぽしき男女は、メイクや衣装で、親や子らしくつくろってはいるが、よくみると同じ年代のようである。
 小屋主の話によれば、前日に楽日を迎えるはずの公演に出演していた役者らしい。どうやら初日の本番中にアクシデントがあり、その場で中止になったが、舞台で家族を演じていた役者たちは、そのまま舞台に居座り続けているのだという。
 小屋主たちはなんとか彼等を現実に引き戻そうと説得するのだが、何かに取り憑かれたように、黙々と団欒を続けている。

 見えない食卓を前に、見えない朝食をかこむ彼等に一体何が起こったのか。
 右往左往する人々をしり目に、次の芝居の本番は刻一刻と迫っている。

                                          ⇒公演日時

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