「皮膚常在菌」が私たちを守る

 5年前、バリ島でコレラが流行したとき、発症した約 2百人全員が日本の若者で、バリ島住民や、欧米人、日本人でも中高年世代は一人も感染しなかったという。

 東京医科歯科大学、藤田紘一郎教授は 「日本人のキレイ好き」 が高じて 「清潔病」 ともいうべき超清潔志向の人が増えている結果ではないかと次のように説明する。 

 1日2回入浴する若者。その是非は?

 「人間の皮膚には表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌をはじめとする十種類以上の『皮膚常在菌』 というバイ菌がいて、私たちの皮膚を守っています。 これらの皮膚常在歯は皮膚の脂肪を餌に“脂肪酸の膜”をつくります。皮膚を弱酸性にして、外からの病原菌やアレルゲンを寄せつけないしくみになっているのです。

 1回の入浴で石けんを使うと皮膚の常在菌の90%が洗い流されますが、残りの菌が増植して元に戻ることができます。回復するのにかかる時間は12時間。
 ですから一日に1回お風呂で普通に洗うということであれば、皮膚のガードマンが通常に機能してくれます。
 ところが、1日に2回、それも、強力な洗浄力のあるボディシャンプーを使いナイロンタオル等でごしごし洗ってしまうと、ガードマン不在ということになってしまいます。
 また、洗いすぎによって皮脂膜がはがれ角膜層にすき間ができると、皮膚に潤いを与えている水分の多くが蒸発してしまいます。さらに、ホコリやダニなどアレルギーを引き起こす物質や病原菌なども侵入してしまうというわけです。

 バリ島でコレラに罹ってしまった若者たちも、いわゆるバイ歯にさらされてこなかったことで免疫力が弱ってしまった例と考えられます。
 免疫力・生命力を高めるには 『菌との共生』 が重要であると思います。」

 痔などで悶っている人以外のウォシュレットの使いすぎ、風邪予防の意味でのうがい・手洗いでの石鹸やうがい薬の使いすぎ、杭歯グッズの使いすぎなども注意が必要だといい、特に、
 「さまざまなバイ菌で抵抗力を鍛えていかなければならない幼児期に、抗菌剤が使われているおもちゃなどを使うのは、免疫力の弱い日本人を生産しているのではないか。
 腸内には百種類、百兆個以上の腸内細菌が混在し、バランスを取りながら外部から侵人した菌と対拡しています。ところが、消毒しすぎたり、抗菌グッズなどを揃えすぎると腸内の有用な菌まで少なくなり、菌に対する抵抗力が弱くなるのです。」
と懸念する。


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