だるまさんがころんだ


作・演出=坂手洋二

 本年2月、燐光群は坂手洋二書き下ろし新作 『だるまさんがころんだ』 を発表、「イラク戦争の現実に拮抗する日本唯一の演劇表現」 として高い評価を得ると同時に、各方面に圧倒的反響を呼び起こしました。
 全国各地からの熱望の声に応え、本作品を本年7月から8月にかけて、下北沢ザ・スズナリでの追加公演を皮切りに、全国7カ所で緊急上演いたします。

 2004年、アメリカを中心とした国々のイラクへの進攻が始まり、後方支援とはいいながら戦地への自衛隊「派兵」が現実になった今、改めて日本が「戦争」にどのように向き合うかが問われています。 「だるまさんがころんだ」 は、こうした現実を背景に、“ラディカル” と “ポップ” さを併せ持ち、同時に豊かな演劇性を湛えた独自の世界を生みだしました。

 燐光群は1995年、自衛隊に所属しながら戦争に反対する運動をしている実在の自衛官たちに取材した 「反戦自衛官」 を発表。1990年にには湾岸危機を背景にした 「レフトハンドマシーン」 も手がけています。最近の 『CVR チャーリー・ビクター・ロミオ』 『ララミー・フロジェクト』 といった 「ドキュドラマ」上演の成果も踏まえ、そうした 「現実を切り取る腕力」 と、 「屋根裏」 に代表される 「演劇のエンターテイメント性の追求」 が調和した、新たな表現世界が拓かれました。

 坂手洋二は、数年前より劇作家協会・国際交流基金等によろアジア9ケ国の演劇人による 「地雷」 フロジェクトに参加しています。 2001年にシンガポールで行われた合宿では、「地雷」 をテーマにした作品の競作と提出が行われ、その中で坂手は、本作 『だるまさんがころんだ』 のテキストの一部にもなっている 『セントラルパークの地雷』 を発表しています。このプロジェクトの経験を生かし、坂手は本作品で 「地雷」 「兵器」 「戦争」 を全く新しい視点から描きだしています。

 派兵先の戦場で地雷原を歩き続ける自衛官コンビ、地雷入手の命令を親分から受け地雷を探す旅にでるヤクザ、地雷撤去に憧れを抱く女性の 「冒険」、地雷製造会社で働く父親と家族の日常、増え続ける地雷のために村を追われた難民の物語……。「地雷」 をめぐる様々な物語が交錯する。いま、名前や形を変え世界中に存在する子供達の遊び 「だるまさんがころんだ」 が、戦場の現実を堪え忍ぶ人々の祈りとして再生する……。


初演時劇評より

■「社会性と娯楽性を両立させた快作」
  「最後は一気に解放されて大きな感動を呼ぶ」(祐成秀樹氏 読売新聞)

■「存在感あるベテランから若手までアンサンブルがとてもいい」
  「アクチュアルなメッセージを、坂手は鋭い笑いとともに示す」(高橋豊氏 毎日新聞)

■「坂手と燐光群の新しい収穫」(扇田昭彦氏 朝日新聞)

■「同時代代の事件を芝居に取り込むのは 『いま、ここに』 を描く演劇の宿命」
  「互いの呼吸を知る劇団だから出せる舞台の練りとコク」(河野孝氏 日本経済新聞)














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