7月2日〜18日、加藤健一事務所25周年記念
「ヒーロー」公演にあたって

       加藤健一共演者・ヴィック役、上杉祥三(写真・前列右から2人目)
 
 こういう言い方を加藤さんが喜ぶかどうか分かりませんが、僕にとって加藤健一さんは「演劇界のお手本」なんです。

 実際にカトケンさんのやってこられたことは、この突拍子もない作品『ヒーロー』を上演することも含めて、まさに演劇そのものなんです。
 人生の賭け、博打そのものなんです。演劇という生だからこそ起こる緊迫感と恐怖感。一期一会の貴重さ。それらのことを痛いほど生身で経験してきた上で、興行師としての、俳優としてのカトケンさんの人となりを、僕はずっとお手本にしてきました。
 そして僕も自らプロデュース公演を行い、「トレランス」という劇団も立ち上げてきました。

 カトケンさんは僕と同じく、歌舞伎役者の子として生まれたのでもなく、かつての三大新劇(民芸、俳優座、文学座)出身でもなく、劇作家でも演出家でも、テレビの人気夕レントでもありません。
 一介の、何の後ろ盾もない舞台俳優が、自分がやりたい舞台で思う存分、客を喜ばせてみたいという、強い意志だけで立ち上げた加藤健一事務所なんだと思うんです。

 それをここまでの長期にわたって継続してこられたのは、ひとえに加藤さんの演劇に対する愛情の深さに尽きます。
 芝居に対する愛惰では誰にも負けないつもりの僕でも、一人芝居、二人芝居といった大変にプレッシャーのかかる舞台をも、愚痴もこぼさず作り続けてきたカトケンさんの功績にはただ一観客として拍手を送るしかありません。

 僕がカトケンさんと共演するのは『K2』という山登りの二人芝居、以来、二度目なんですが、再びこの舞台でお手合わせすることをとても光栄に思っています。

 また、この前は二人芝居で、カトケンさんだけがお相手でしたが、急成長の若手、加藤忍さんを始めカトケンさんお気に入りの俳優さんたちとの共演も楽しみです。

 そしてそう、カトケンさん自らがどういう演出をされるのか、僕がその要望に応えることができるのか。実は、今回はそれが一番楽しみなんです。

















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