「藤沢周平の世界展」

  【展覧会の趣意】

 豪傑が天下国家を声高に語るのでもなく、完全無欠のヒーローが華やかに活躍するわけでもない。
 誰もが皆それぞれの生き方があり、救いがある---藤沢周平(写真)は時代小説でありながら、現代に生きる私たちの日常を歴史に素材を借り、名も無き人々をあたたかな眼差しで包む作風で愛されています。
 「用心棒日月抄」「三屋清左衛門残日録」「蝉しぐれ」「よろずや平四郎」シリーズなど数々の名作を残し、平成9年に惜しまれながら69歳でこの世を去った後、今なお読者を広げつつあります。

 藤沢は故郷「鶴岡」の面影を託した架空の小藩・海坂(うなさか)藩の下級武士や江戸庶民の哀歓を通じて、人間が人間である限り不変なものを活写し続けました。
 愛惜誘う風景描写とあいまって、人生の光と影、一途な純愛と人情の物語は多くの女性の心もとらえ、組織の中で自分らしく生きようとする登場人物の姿は、特にビジネスマンの大きな共感を得て、「癒しの文学」とも呼ばれています。

 作品が相次いでドラマ化されたことでもなじみ深く、山田洋次監督による映画「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」(松竹系)が国内外で好評を博したのは記憶に新しいところです。
 そして生前の藤沢に映画化を許された黒土三男監督が苦節15年を経て藤沢の最高傑作「蝉しぐれ」を完成、本展覧会開催中の10月1日に全国東宝系ロードショーとなり、藤沢への注目度はさらに高まっています。


 本展では、藤沢周平の没後、家族の手元で大切に保存されていた原稿、創作資料、蔵書などを一挙初公開、実際に愛用した品々で執筆の場となった書斎も再現します。藤沢旧蔵資料を中心に約400点の資料で、作品の魅力の源泉と素顔を紹介する待望の本格的企画展となります。


 めまぐるしい変化の中で価値観が錯綜し、時に立ちすくみ、疲れがちな現代社会。普通に生きる幸せを見失いがちな今こそ、原点を見つめ直し「人間っていいな」「人生、そう悪いものじゃない」と、明日への活力と励ましになる藤沢周平の世界を堪能ください。

  「藤沢周平の世界展」

■会 期=平成17(2005)年9月17日(土)〜10月30日(日)

■時 間=午前10時〜午後6時(入場は午後5時30分まで)
    毎週月曜日休館。ただし、10月10日(月・祝)は開館、翌日11日(火)は休館。

■会 場=世田谷文学館
    〒157−0062世田谷区南烏山1−10−10(京王線「芦花公園」駅徒歩5分)

■内 容=市井の男女の物語、武家物語、剣豪小説などの分野で活躍した作家・藤沢周平。いつの世も変わらない人情と哀歓を端正な文体で描き出し、「人生の伴侶の文学」「癒しの文学」ともいえる藤沢文学の魅力に迫ります。
 藤沢周平の没後、家族の手元で大切に保存されていた貴重な資料を一挙初公開。藤沢旧蔵資料を中心に、約400点の多彩な資料で、作品世界の源泉と素顔を紹介する初の本格的展覧会です。


■観覧料=一般600(480)円/大学・高校生350(280)円/中学・小学生250(200)円
    /65歳以上300(240)円
  ※( )内は20名以上の団体料金、障害者割引有り
  ※初日の9月17日(土)は観覧料が無料になります。

■問合せ=世田谷文学館
       電話03−5374−9111(代表)/FAX03−5374−9120

   
















『マイソフトニュース』を他のメディア(雑誌等)にご案内下さる節は、当社までご連絡願います。
Copyright(c)1999-2005 Mysoft co. ltd. All Rights Reserved.