企画展示:収蔵コレクション展秋深む」
併設:「長谷川町子原作展」-町子が描いた子供たち
 

 桜新町の静かな住宅街の中、サザエさん一家が迎えてくれる、昭和60年開館の「長谷川町子美術館」。長谷川町子さんが「マメのようなささやかな建物です」と表現したように、美術館にしてはこぢんまりとして、展示されている作品の数もさほど多くはない。 が、「美術館の入門の場として大人から子どもまで楽しめる美術館であってほしい」 という長谷川さんご自身の思いと同じくして、小さい子をつれた家族で来て入っても気兼ねせずいられるような空間であった。実際、「時間かけてまわりきらないといけないと子どもたちも疲れて飽きちゃう し。このくらいでちょうどよかった」と家族連れのお母さん。子どもの方も「静かだね…」と、美術館という場所を初めて体感しているようだった。

 年に数回開催される収蔵コレクション展は、長谷川町子・毬子さん姉妹が長年趣味で集めてきた作品を、「ジャンルや作者の有名無名にこだわらず、テーマによって自由にみてもらおう」という指針のもとで企画されている。今回は「秋深む」と題した「秋 」をテーマにした展示であった。
 目に飛び込んでくるのは色鮮やかな赤やオレンジの紅葉の風景。森林や神社・川辺にはなやぐ暖かな色合いを浮かべた絵画がずらりと並んでいて、まるで館内に秋の日差しが差し込んでいるような感覚に包まれる。並べられた作品はどれも皆美しい自然の風景画ばかり。製作年、作者もばらばらで、わりに近年の作品も多かった。

 二階には1/17サイズの磯野家の家屋模型も。館内イチのオススメだ。ぼんやりとはわかっているつもりの家屋全体像はイメーが、こうして目の前に現れるとずいぶん具体的に部屋の位置取りや関係性が浮かび上がって、「そうそう」「ああここがこの部分なのか」と答えあわせしていくような感覚が味わえる。本棚に並べられた本や押し入れの中まで細かくこだわって作られていて、非常におもしろい。

 そして「長谷川町子コーナー」がある。長谷川さんの原画や『サザエさん』の文庫のほか、彼女作の陶芸、絵画作品が。子ども好きだった彼女が描いた子どもたちや陶芸作品はどれもカラフルで味がありやさしそうな丸いフォルムをしていて、触れたら体温がありそうな暖かみある作品ばかりだった。アニメ『サザエさん』のビデオ上映 もしており、大人も子どもも満席でかぶりついている様子がどこかほっこりとする光景だった。

 入館してすぐのところにある、来場記念のコメントが貼れる掲示板をみると大阪・ 新潟ほか遠方からやって来たというお客さんの多いこと。
 涼しくなってきた芸術の秋の訪れに、ぜひ。開催要領はコチラ⇒ 


















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