長谷川町子

｢Iスタジオ｣

　小田急・和泉多摩川駅から徒歩２分の地に、レンタルスタジオ「アイ・スタジオ」が誕生した。ダンス・バレエの練習の他、合唱や楽器演奏、演劇の稽古などに利用できる。
　利用スペースは全部で４つ。地下にA・B・Cの３つのスタジオ、そして一番大きなDスタジオが一階、受付のすぐ後ろに広がる。オフィスかと思われる白くて明るいスタジオ空間だ。

　３スペースがある地下に入ってまず目に飛び込んでくるのは、｢暗くて狭く場所によっては空気が淀んでいることもある地下稽古場の一般的なイメージ｣とは真逆な、赤をモチーフにしたラウンジ。それに出入りの際のメイク・服装のチェックに、と壁にとりつけられた鏡面台と全身鏡。
　着替えスペースとして「個室ドレッシングルーム」が二つ。スタジオ内にあるカーテンを引いた簡易式とは別もので、廊下中ほどにある撮影スペースで撮影する際の衣装替え更衣室として備えられたそうだが、稽古途中から参加する人のことにも利用できるよう配慮された。

　その撮影スペース。ライトは天井に備え付けられたものと可動式の、本格的なもの。壁紙が白と黒の一色平面になっているので、壁面を上手く使って白バックと黒バック（写真右）の両方を作成でき、さらにラウンジの赤い壁面、１F受付の緑の壁面も利用できるので、あわせればこのスタジオ内でイメージに合わせたバックで撮影できる。

　A・B・Dのスタジオは全てリノリウムが敷いてあり、それぞれ２面・２面・３面の鏡張り。Cスタジオはフローリング敷きで鏡は１面張り、電子ピアノ（無料）がおいてあり、タップダンス・ボーカルレッスン・楽器練習などに最適だ。
　全室音響つき、調光設備も本格的。ライトのアナログ調整ができるので調光が自由自在。ステージ空間の他にライトダウンしてリラックス空間を作ったり。
　全スタジオにプロジェクタが備え付けられているので、振付動画を確認しながらの稽古や、ビデオチェックしながら稽古の返しもできる。鏡の向かいの壁に投影されるので、鏡越しに映像を見れば反転。今まで面倒だった動画からのフリおこしに大活躍で、大変ありがたい工夫だ。

　Dスタジオは70㎡あり、簡単な楽屋も完備。本番の舞台を想定した広い空間での稽古や人を集めてのワークショップのほか、椅子を入れて客席もつくれるので、アトリエ公演もできる。

　ここまででわかるのは、徹底した「利用者目線」。たとえばスタジオ内は全面禁煙だが、バンドマン・演劇関係者などには喫煙者も多いことから、地下ラウンジ奥に喫煙室も設けてある。オーナーの大西さんが、多くのスタジオを見て回り参考にしただけでなく、演者の声を直接聞いてひとつひとつ検討した結果設けたそうだ。

　演劇やダンス、音楽に携わった人の「あったらいいな」「あってよかったな」「こういうふうだったら使いやすいな」という工夫をふんだんに取り入れていて、痒いところに手が届くような便利さが感じられた。

　利用料金は12月末まで時間1000円の記念料金となっている。
■問合せ＝TEL.03-3489-2433

　　写真下は｢studioA｣内部。