「中村屋サロン美術館

 
   
 「新宿中村屋ビル」(2014年12月) 「中村屋サロン美術館」 
 
 建て替えられたばかりの「新宿中村屋ビル」(新宿駅東口徒歩2分)3階に「中村屋サロン美術館」が、2014年10月29日、オープンした。 和菓子やパンなどで知られる中村屋。 新宿中村屋ビルにはレストランやカフェもある。 そこに“美術館”。 なぜ? 

 芸術・文化・地域振興

 中村屋は1901年に「相馬愛蔵・黒光夫妻」が、文京区本郷の地にパン屋として創業したのが始まり。(写真右)
 
 夫妻が芸術・文化に深い理解を示していたことから、新宿に移転した後の明治末から大正、昭和初期にかけて、中村屋の店舗には多くの芸術家・文化人たちが集った。
 夫妻は愛蔵と同郷の、荻原守衛(碌山)や碌山を慕う若き芸術家などを支援する。 おのずと集まるそれぞれの才能。 中村屋を舞台に互いに芸術を研鑽し励む様子が後に、ヨーロッパのサロンに例えられ、日本近代美術史にも「中村屋サロン」の名が残されるまでに開花した。
 新宿中村屋本店ビルの再開発時の2011年、同社内に「創業者が残した芸術・文化の薫りを今に伝えよう」といった気運が湧き上がる。 竣工した新宿中村屋ビルには中村屋本来の商品に加えてその3階に「中村屋サロン美術館」がオープン。 同社の新たな芸術・文化の発信が始まった。

 「中村屋サロンの芸術家たちの作品紹介はもちろんのこと、新進芸術家や地域に関する作品展示・イベント、その他、広く芸術・文化の振興につながるような企画を実施していく予定です。 小規模な施設ではありますが新宿という立地を生かし、多くの人々が集い、気軽に芸術・文化に触れられる場、まさにサロンのような場所にしたいと考えます。これにより、微力ながらも新宿の街に対して文化的な貢献ができれば幸いです。」(初代館長に就任した中村屋社長、染谷省三さん=写真)

開館記念特別展「中村屋サロン―ここで生まれた、ここから生まれた

 「中村屋サロン美術館」は、展示室1と2に分れている。 オープニングは「中村屋サロンの胎動 碌山:穂高~海外時代」「中村屋サロン躍動 碌山:新宿時代~」。 ともにその当時活躍していた作家の作品展だ。
 鑑賞して見えてくるのは中村屋と芸術家達の人間模様。 今回展のリーフレットに描かれている大きな画(『少女』=写真)は創業者の長女俊子をモデルに中村彝の作品。 セザンヌ、ルノワールから影響を受けて描いたそれらの作品は強烈な色彩が印象的だ。

 明治の激動の時代から今日まである中村屋の姿は、創業者愛蔵と黒光に加え芸術家達の感性も手伝っていたのではないだろうか、この空間からは夫妻に集まってきた芸術家たちの人と人の強い繋がりが感じ取れる、そんな展覧会だ。
開館記念特別展「中村屋サロン―ここで生まれた、ここから生まれた
会 期 2015年2月 15日 (日)
休館日 火曜日
開館時間 10時30分~19時(入館は18時40分まで)
会 場 「新宿サロン美術館」(新宿区新宿3~26~113 新宿中村屋ビル3階)
アクセス JR新宿駅東口徒歩2分
観覧料その他問合せ TEL:03-5362・7508














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