詩人・大岡信展」



   本展は、言語の壁をこえた国内外詩人との「連詩」という新たな詩の境地を開拓した詩人大岡信(1931~)の作品展。
 簡潔な随想の形式で長年にわたって詩歌魅力をひろく一般読者説きあかした代表作『折々うた』をはじめとし、詩稿、創作ノートなど貴重資料で多彩な活動を紹介します。
■会期=~12月6日(日)

■休館日=月曜日(但し11月23日は開館、翌24日は休館)

■開館時間=10時~18時(展覧会入場、ミュージアムショップは17時30分まで)

■会場=世田谷文学館2階展示室(世田谷区南烏山1~10~10)

■アクセス=京王線「芦花公園」駅南口より徒歩5分/小田急線「千歳船橋」駅より京王バス(千歳烏山駅行き)乗車「芦花恒春園」下車徒歩5分

■入館料、その他問合せ=世田谷文学館℡03・5374・9111 FAX03・5374・9120
 

「詩人・大岡信展」をみて 
                            
 世田谷文学館で今開催中の「大岡信展」をみて、「詩とはこんなにもダイナミックで自由なものだったのか」、私自身「自分が発する言葉をもっと大事にしなくては」と考えさせられた。

 最初に目に飛び込んできたのは、直筆の詩の一文に、少し乱暴に色を塗られたアートと呼んでもよい作品。一文も直筆と色が重ねられているのとでは、印象が変わってくる。文字だけの詩のイメージの固定概念が描き方ひとつで壊され、いきなり文字の可能性をさまざまと見せつけられた。
 大きく印刷されている展示品をみていくと、氏の文字の見え方感じ方に、また創作ノートからは沢山の訂正と言葉選び、段落、行間、一行で済むところを三行に渡って表す改行など、“こだわり”がわかる。

 「固定概念が壊されていく」もうひとつに、大岡詩独自のと思われる“ふくれていく空”“ふくれていく水”“ふとるかべ”といった「言葉の組み合わせ」があった。自由な文字の組み合わせだけで、美しいとか重苦しとか感じさせる。
 “富士山は水”“水の生理”という組み合わせもあった。水は生命の根源であるという大岡氏に深く根付いている内面がくみ取れる。

 氏は朝日新聞の朝刊に「折々のうた」という詩や短歌、俳句などを180字で解説をするコラムを連載していた。 小さな新聞のコラムだったとしても短い文字数で美しくまとめ上げ、1979年から2007年の29年間毎日続けてこられたのは、氏の詩や俳句、言葉に対する深い造詣、強い想いがあったからこそだと思える。

 展示品の最後に印象深いものが置かれていた。 床から天井まで伸びた透明な筒の中に、顔一つ分くらいの大きな文字が浮いている。 天井から透明な糸か何かで、文字を型どった物を吊り下げているだけなのだが、幻想的で美しい。内容は氏の「人生論」という詩だった。

 パソコンで「折々のうた」の掲載文が日付や詩の作者の名前で検索出来るようになっていた。
 余談であるが、同時に、当時の新聞の掲載されたコラムの写真と原稿の手書き写真を見るプレミアムもある。 たとえば自分の誕生日に何が掲載されていたのかとかちょっとした遊び心がくすぐられる。
                       (西川)













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