「精霊の守り人

   
 左がバルサの衣装 右がチャグムの衣装
 
  足を踏み入れた瞬間、壁いっぱいの大きな地図が私を「精霊の守り人」の世界に引き込んでいった。
「精霊の守り人」は遠い昔、女用心棒バルサが命をねらわれている幼い王子チャグムを守り冒険する“愛と神秘”のファンタジー。(西川)

廃墟と化した国土から作家たちはいかに再生へと向かったか
「上橋菜穂子と精霊の守り人展」/世田谷文学館


NHK大河ファンタジー
「精霊の守り人」綾瀬はるか主演。
NHK総合 にて土曜日 夜9時~9時59分。2016年~2018年まで3シーズンに分けて全22話で放送予定。1シーズンはこの4月に終了した。

 |精霊の守り人|あらすじ
 女用心棒のバルサは新ヨゴ国の王子チャグムが川に転落したところへ通りがかり、命を救った。宮殿に連れて行かれたバルサは、妃から「王子を連れて逃げてほしい」と頼まれる。チャグムには精霊の卵が宿ったが、その精霊は悪しき魔物と言われており、帝から暗殺されようとしていると言うのだ。
 やむなくチャグムを連れて逃亡するバルサ。王宮からは刺客が放たれ、異界の魔物が王子に宿る卵を狙っていた。バルサは闘い、生きる厳しさと身を守る術をチャグムに教えていく。
 やがて、精霊と交信できる呪術師たちの協力を得て、精霊の真の姿が分かってくる。卵が孵化する時期が迫っていた。いつまでも逃げているわけにはいかない。バルサたちはついに、刺客と魔物との決戦の時を迎える…!
(NHK大河ファンタジーより)

 上橋菜穂子さんの20年前の作品「精霊の守り人」は、上橋さんがその世界を想像で書き上げたファンタジー小説。テレビアニメ、漫画、そして新しくドラマ化されることになった、今でも愛され続けている名作だ。

 子供の頃に祖母から聞かされた民話や、両親の読み聞かせで触れた沢山の物語、その中でもとりわけイギリスの児童文学の影響を大きく受けている(学生の頃にはイギリスの児童文学作家、ルーシー・M・ボストンに会いに行ったほど)。幼少期から本に触れ、多文化、多民族に興味をもち、自らそれを触れにいった経験が作品の世界観に表れている。

 上橋さんの説得力のある物語を描く要素の一つに「フィールドワーク」というのがある。大学院の時にアボリジニの研究のために訪れたオーストラリアで経験したもので、現地で実際に過ごし異文化に直接触れること。今や20ヶ国を回っているという海外旅行好き、海外旅行時には服装ばかりか足元もよく観察していたり、現地で気を引いたものは何だろうかと細かく調べる。知識欲が旺盛なのだ。アボリジニの研究の時には鳥の解体方法を細かく観察し、作品にも反映した。
 特にこだわりがあるのは「食」に関すること。料理の描写が細かく、海外に行った際は市場で食物の並べ方、味、料理の仕方まで観察するというのだから驚きだ。「主食がイモなら気候は潤沢だから他の食物もあるだろう」といった観点で物語を作ったりする。作品に出てくる料理の料理本まで出版した。

 「ファンタジーを作っているつもりはなく、物語を作っているつもり。ファンタジーだからなんでもありという風にしたくない」「物語は『他者に成る』力を与えてくれる。物語の世界の他者の気持ちにいつの間にかよりそって歩み、読み終えた時は、読み始めた時とは違う場所に立っている。そういう物語を書きたい」といった強い想い、こだわりがわかる。









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