「神話の森 美と神々の世界」
 
 世田谷美術館では今、世界各地に伝わる神話や古代文明の遺跡を展示した「神話の森 美と神々の世界ミュージアムコレクションⅡ」を開催している。芸術家たちの神話への挑戦を感じ取れる展示会だ。

 難波田龍起、山口薫、宮本三郎といった日本の洋画家たちはギリシャ神話を題材にペガサスやケンタウロスなどを描いている。

 利根山光人はメキシコ、マヤ・アステカの神話を「拓本」という手法で表現した。拓本とは石碑などに刻銘された文字や文様に紙や布をあて、墨を塗り複写する手法。実際にメキシコに渡航した利根山はシケイロスやオロスコといった壁画画家の影響を受けた。キャンバスに自由に描くよりも、拓本という手間のかかる表現法を選択したことで、メキシコやマヤ・アステカへ対する拘りや情熱を感じさせる。

 福沢一郎、朝妻治郎、高橋秀らは日本神話を題材にした。魏志倭人伝からくる邪馬台国の卑弥呼の様子や、間所(芥川)紗織の13メートルに及ぶ大作「古事記より」がある。日本神話の「黄泉の国」はどくどくしい色合いで、剣を振るうイザナギが鮮烈に描かれている。

 フェルナンドボテロはふくよかで無表情という一貫した人間の描き、アンゼルム・キーファーは旧約聖書から読み取る世界を砂や鉛などを用いて、それぞれの世界感で表していた。

 伝承されてきた神話という物語を、芸術家たちは様々な表現法を使い、情熱を注ぎ、その神秘性をふくらませ人々の心に深く刻んでいく。神話といえば天使が舞っていたり美しく描かれる絵を思おこさせるが、この展示会の作品はほとんどと言ってよいほど抽象的、大胆で大雑把、力強く色にもメリハリがある。それぞれの画家の、個性や世界観、表現方法を観ることが出来る。
 
会 期 2016年 10月23日 (日)
 休館日 毎週月曜日(休日1の場合は開館、翌平日閉館)
開館時間 10時~18時(入場は17時30分まで)
会 場 世田谷美術館(世田谷区砧公園1~2)2階展示室
アクセス ●小田急線「成城学園前」駅南口から渋谷駅行バスB「砧町」下車徒歩10分
●小田急線「千歳船橋」駅から田園調布駅行バスC「美術館入口」下車徒歩5分
ほか
観覧料
一般200(160)円、大高生150(120)円、65歳以上及び中小生100(80)
※小・中学生は土日祝日無料。
問合せ 世田谷美術館 TEL:03-3415・6011(代表)

















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