ガイド |
《大原冬に入る》「京都市」、1966年
新幹線、高速道路などの交通網が整備され大都市への人口流入が続き、山間部ではダム建設などの影響から集落そのものが姿を消し、各地の風土や暮らしに育まれてきた民家は徐々に姿を少なくしていく。
そのような時代に、向井潤吉(1901〜1995)は日本の風景が変わりゆくことに一抹の寂しさと焦燥感をいだきながら、絵具箱を背負って列島を奔走。 常に現場にイーゼルを立て向き合う“現場主義”を貫いて民家を描くことに半生をささげようと、自身の画業を決定づけていったのが1960年代でした。
本展では、1959年から1960年にかけてヨーロッパへ、更に1966年に中国に旅行した際に描いた作品も紹介します。 |
《早春-56》 1956年
一年を通じて少しずつ移ろいゆく季節。 初期には具象的な作品を描いていた画家・清川泰次(1919〜2000)は、1951年から3年間アメリカへ渡り、本格的に抽象表現へと移行します。 約60年にわたり画歴を重ねるなかで、少しずつスタイルを変えながら、ものの形を写すことに捉われない芸術を探求し続けました。
本展では、季節を主題とした《早い夏》や《早春-56》をはじめ、複雑に交差する線や点、色彩豊かな色面を用いて季節を表現した作品を中心に、アメリカから帰国直後の1950年代後半から60年代初頭にかけて制作された油彩画10数点を紹介します。 |
《家族席》1934年カヴァンス
油彩家族や近しい人物をはじめ、プ口のモデル、異国の地で出会ったひと、はたまた華やかな舞台で活躍する歌手や女優、ダンサーまで、さまざまな人物を作品に登場させた宮本が描く、それぞれの顔。
意思を語る眼差し、思わせぶりな目線や、場面に物語を添えるような表情。
そして、自らの存在を描いた自画像。 雑誌の表紙を飾る人物画や素描作品も、魅力的です。
本展では、生涯にわたり人物を主題とした作品を、その制作活動の中心に据えていた宮本三郎の、「顔」や「表情」に焦点を当てて展覧します。 |