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1920(大正9)年頃 |
志賀直哉コレクション
本展は、2015年12月受贈「志賀直哉コレクション」の資料を中心とした初めての展覧会です。当コレクションは、原稿・草稿、書簡、絵画筆墨、写真など計11,886点に及びます。
これらの膨大な資料が寄贈されたことによって、志賀直哉の、文学だけにとどまらない美術や宗教、思想、哲学、民藝との一体性や志賀が与した白樺派の活動、志賀自身の交友世界といった、総合的な研究がはじまっていくことになります。
本展をきっかけとして、次の世代へと志賀直哉の文学が読み継がれていくようにしていきます。
新しい志賀直哉像にむけて
「志賀直哉が1969年、86歳のとき、自著『枇杷の花』と朝日新聞PR版の両方に発表した「ナイルの水の一滴」という文書がある。
紅野敏郎氏の詳細な解説によれば、志賀は、この200字に満たない小文とわずかに異なる文章を、その9年前の1960年12月、講談社から刊行された日本現代文学全集49『志賀直哉集』にも題をつけずに掲載している。そして、その間に、さまざまなヴァリエーションが生まれ、その変遷をたどってゆくと、志賀自身の心境の変化に、寄り添うことができる。
その長い、深い歩みをたどることから、新しい志賀直哉の姿が立ち上がって来るのではないだろうか」 (坂上弘 日本近代文学館理事長・志賀直哉コレクション研究委員会委員長)
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