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《水辺の曲がり角》[岩手県碑貫郡大迫町内川目]1976年
戦前、戦後をとおして活躍した洋画家・向井潤吉(1901-1995)は、1945年以降、日本各地を訪ね歩き、各地の特徴的な民家の数々、失われゆく草葺屋根の民家を描きました。向井潤吉の作品には、こうした民家から周囲の自然と一体感をもって表現された造形美と、そこで暮らす人々の息づかいをも感じ取ることができます。
本展では、向井潤吉の民家シリーズを中心に、「民家はその生まれた土地を動かずに、生活や自然環境と密着してこそ初めて美しい」と語った向井の、約40年間におよぶ旅する画家が追い求めた風土のかたちの、油彩、水彩作品をあわせて約40点を紹介します。 |
《奈良にて》 1941年
独自の抽象芸術を探求し続けた画家・清川泰次( 1919 2000)は、本格的に画家活動の一方で、写真にも強い関心を持っていました。清川がライカなどのカメラを手に、家族や友人、日本各地の風景を撮影した写真は、数千点にものぼります。
若き日の清川がのこした学生時代に旅先で写したモノクロ写真の数々から、昭和10年代の様子をみることができます。
本展ではアルバムから、美しく切り取られた、昭和の人々や鎌倉や日光、奈良などの風景、今も観光スポットとして知られている各地の、昭和を楽しみください。 |
《赤松と渓流》1935年
写実表現を得意としていた洋画家・宮本三郎( 1905ー1974)は、生涯のうち二度の渡欧し、西欧の美術に多くを学んでいます。
日本美術の特色のーつともいえる装飾性は、海外の画家たちにも深く影響を与えています。それが、宮本の作品世界にある種のアイデンティティとオリジナリティを与えていえることを、数多くの作品が物語っています。
本展では、「装飾性」をキーワードに初期から晩年までの宮本三郎の画業を追い、生涯を通して多彩な表現に挑み続けた「日本の洋画家・宮本三郎」の、その作品世界に通底する魅力を、「装飾性の展開」という視点から探ります。 |