女性が被るスカーフとしても広く庶民に親しまれてきた木版プリント〈バスク〉は、トルコ北部・トカット県で作られ、600年の歴史を持つ。
人々には価値観や一時的流行もあるのにバスクはなぜ600年もの伝承があるのだろうか。
展示写真(上)を見ればその答えは明快だ。木版のハンドプリント「バスク」の衣装を身につけている若き女性たちの姿・表情。その衣装は積み重ねられたバスクのアートや制作技術の、確かな伝承の結集だ。
トルコでは宗教上の理由からスカーフをかぶる女性たちがいる。日常的に身につけるもののため、自分らしさを表すスカーフの色や柄を選ぶのに心血を注ぐ。スカーフの布は職人が作るものの、そこに〈オヤ〉と呼ばれる縁飾りを付けるのは、基本的にはそれをかぶる女性たち自身。
スカーフとオヤのモチーフ・色の組み合わせを考えるのも、楽しい作業。そこには親からの教え、知識や工夫、技術・創造力も加わってくる。
本展はその魅力や製法を伝えする初の展覧会。
本展では地中海沿岸に位置するトルコのアンタルヤで絨毯・キリム屋を営んでいる野中幾美さんの協力で、木版「バスク」で作られたオヤスカーフをはじめ、オヤのアクセサリーや伝統柄の手編みの靴下、オールドキリムなど、貴重なコレクションを含む手工芸品など100点以上紹介。
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