虎ノ門「大倉集古館」(写真)では、1月26日までの新春の祝福すべき雰囲気のなか、新春企画『能と吉祥「寿―Kotohogi―」』を開催し、明治から大正時代にかけた実業家・大倉喜八郎(1837〜1928)が設立した日本で最初の私立美術館を公開、文様と能の世界を展覧披露した。
内容は、能装束と工芸を中心にデザインとして吉祥文様のあらわされた松竹梅・宝尽くし・扇などの作品展示、能面の名品を通して「石橋」「猩々」などの祝言性あふれる能の演目紹介、あわせて近年新収蔵品として加わった鈴木守一筆「石橋・牡丹図」を初公開。
「大倉集古館」は、喜八郎が生涯をかけて蒐集した日本・東洋各地域の古美術品と、跡を継いだ喜七郎(1882~1963)が蒐集した日本の近代絵画などを中心として、国宝3件、重要文化財13件及び重要美術品44件を含む美術品約2500件を収蔵している。
大倉喜八郎は昭和5(1930)年に横山大観を始めとする日本画家たちを全面支援。その縁でか今回は、横山大観作品が展示されていた。
また多趣味人としても知られ、囲碁、舞踊、ゴルフなどの他に、新邦楽の一種である大和楽を創設、尺八とフルートを合わせた新しい楽器「オークラウロ」を開発した。展覧会では関係する楽器が並べられていた。
館内整理後の、2020年4月4日(土)~5月24日(日)、奈良から江戸時代までのさまざまな料紙装飾に光をあてた企画展「彩られた紙~料紙装飾の世界~」が予定されている。
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