明治から大正にかけて活躍した渡辺省亭の展覧会。【写真右、リーフレット】
子供の時から好きな絵描きに傾注していたという省亭について、「迎賓館赤坂離宮の七宝額原画を描くなどその実力は認められながらも、明治30年代以降は次第に中央画壇から離れて市井の画家を貫いたため、展覧会で紹介される機会が少なくなりました」と紹介。
牡丹、萩、藤などの花や鴨、雀、鶏などの鳥、兎、猿、猛虎まで、景色を交えるなどして描かれた、繊細で洒脱な作品が約150点、個人コレクションを中心に展示されていた。
一方で、明治11(1878)年にパリに渡り印象派の画家の影響を受けたことや、省亭の師匠についてのなお書きも。地下2階会場に展示されている「石山寺」作品に「紫式部が石山に参龍したときに源氏物語を着想したという画題。省亭は師の菊池容斎にならってこの図様で何点か制作している」とのコメントがあった。
展覧会初日の3月27日、美術館近郊の上野公園は、新型コロナウイルス感染拡大を防止するために出された緊急事態宣言が全面解除されて初めての週末と、好天下鮮やかな満開の桜風景とが重なり、これを楽しもうと大勢の花見客でにぎわっていた。【写真上 2021年3月27日】
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