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          | 「駅の詩」:下北沢駅
 
 
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          | -森川芹さん:「誰かを待つ詩 駅の詩」、第5回 アート&デザイン新世代賞 最優秀作品 - | 
        
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          | 2022年1月10日~1月23日の間、小田急線下北沢駅構内に展示された「アート&デザイン新世代賞」出品作品は、下北沢で生活している作者の模様が素朴に描写され味わいがある。 「アート&デザイン新世代賞」は芸術家、デザイナー、建築家などを目指す25歳以下の若いクリエーターのための新人賞。  最優秀作品に選ばれたのは森川芹さん作「誰かを待つ詩 駅の詩」。
 
 
   |  | ↗ さ さんざん泣いたね、きっぷ売り場
 し 視線だけの、コミニケーション
 す スーツまとえど、一人間
 せ 線路を、一度だけでも歩けたら
 そ そろそろ着いちゃう、ね
 た たまにはゆっくり、各駅停車で
 ち 小さな駅に、大きな浪漫
 つ 突き刺さる、時刻にその目流れるたびに
 て 手をつなぐの、手すりの代わりに
 と 隣駅、乗りすごすのもわるくない
 な 何度も振り返って見た、ばかみたい
 に 「2分遅れます。」 こっそりあなた眺めたくて
 ぬ 温もり求め、キミの最寄りへ
 ね 猫背だから、すぐにわかったよ
 の 飲むと、決まって駆け込み籠もる
 は 端まで歩くと、なんか落ち着く
 ひ ひらめき宿る、駅前喫茶
 ふ ふらつかないコツ、そっと教えて
 へ ベンチ腰掛け、ると、うとうと
 ほ ほっと一息、ただいまホーム
 ま 待ちくたびれた手に、冷たいコーヒー
 み みだらな姿を許して、始発
 む ムードをこわす、「間もなく」アナウンス
 め めくるめく人混みがその、恋しいの
 も 「もっと一緒に」、発車の瞬間こみあげる
 や やるせない、涙のんだ踏切前
 ゆ 夕暮れ醸す、日本のわびさび
 よ 世の中を肌で感じる
 ら ラーメン香る、わたし即降りる
 り 理性が勝る夜も、ある
 る 流転より、終点欲す
 れ 「連絡してね」は、脈ありですか
 ろ 路上ライブを今日は、聴きたい
 わ 忘れないでね、という気持ちを忘れちゃった。
 きちんと、「おさらば」、最後ぐらい
 
 @2022年1月15日記録
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          | 「誰かを待つ詩 駅の詩」 五十音順
 
 あ 雨がふれば、みんなの住処
 い 家を問われ、駅を答える
 う 裏口が、密かに私のお気に入り
 え 駅弁は冷たいのが、おいしい
 お 「お疲れさま」、知らない背広に呟く深夜
 か 改札という、断絶
 き 北からやってきたの、北千住から
 く 口から溢れそうでつい、「またね」と打ち消す
 け 蛍光灯は、暗いくらいがちょうどいい
 こ こどもに舞い戻る、迷子のここち  ↗
 
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          | 【コンセプト】
 
 この作品を通して、「誰かを待つ」誰かの琴線に触れ、その人の駅での記憶を呼び起こしては、誰かに想いを馳せられるような、温かなひとときを提供できればと思いました。そんな駅にまつわる気付きや感情の揺れ動きを、本作品では五十音ではじまる言葉で切り取り、並べてみました。
 |  | 【審査員のコメント】
 ●「駅」には色んな人がいて、色んな感情の人がいる。それを作品から感じられた。さらに「日本の駅」だからこそ起きるという点でも共感できた。(尾田大介)
 ●読むだけでくすぐったくなる気持ちになる。日常のちょっとしたドラマをくみ取るのが上手で、完成度に対してもぐっときてグランプリにふさわしい。(中村暖)
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