長谷川町子美術館開館30周年記念展
「長谷川町子が描いたサザエさん」


 8月末までの開催予定だった長谷川町子美術館開館30周年記念「長谷川町子が描いたサザエさん展」の会期が、11月23日まで延長になった。

 「長谷川町子が描いたサザエさん展」は、原画のほかにサザエさんの誕生、アニメのサザエさん、サザエさんの絵本、初期のサザエさんのほか、磯野家の間取りの模型が細かく再現されたアニメのコーナー、キッチンや戸棚、開け閉めできる扉など、さらに原作者・長谷川町子の生い立ちも含め、サザエさんの世界が盛りたくさん楽しめる展覧会だ。

 絵を観ていると温かい気持ちになってくる

 自伝エッセイ「サザエさんうちあけ話」では町子の生い立ちが書かれている。 縦書きの文章の要所要所の単語が絵で表現されてまるで象形文字を見ているようなのだが、その絵の一つ一つが可愛らしい。 町子の家庭のことも触れている。
 父は早くに亡くなっているのだが、生前は仕事よりも家庭を優先させる子煩悩な父親で、休みの日は遊びに連れられている様子などが描かれている。 この温かな家族の中で愛されて育ったからこそ温かい絵を描くことが出来たのだろう。
 父の亡き後、1年後に母が上京を決意し、母、町子の姉、町子の3人は福 岡から東京へ。 母は町子が好きな漫画家に弟子入りを直談判するよう持ちかけたり、貯金がなくなったことをこともなげに話したり、 肝のすわった母親だったように思える。 躾はとても厳しかったらしいが、町子や姉の希望事を尊重していたようだ。 サザエさんを自費出版したり、単行本が売れなくても、形を変えて再出版したりと、母親の凄まじい行動力が伺え、父親の愛情に加え母親の逞しさあってこその町子の作品といった感じだ。
 生い立ちを読んでいると、戦争も経験し困窮の時代を生き、実際に町子は体調不良で休載したり苦しい時期など危機的状況もあったようだが、大変ではあるもののどことなく楽しそうに充実して生きているようにみえる。 根は 「全ての生活を楽しむことが出来る人」、これが愉快なサザエさんの漫画となって反映されていたように、また 「町子の日々の生活と、サザエさんという物語は互いに影響し合っている」 ように思えたのだが…。
 どんな状況下でもいつも明るいサザエさん家族は、まこと気持ちが良い。
                   (西川恵美・記)

■会 期  ~2015年11月23日(日)

■休館日 月曜日

■開館時間  10時~17時30分(入場は閉館の30分前まで)

■会 場  長谷川町子美術館(世田谷区田谷区桜新町1~30~6)

■アクセス  田園都市線・桜新町下車、西口よりサザエさん通り徒歩7分
       ※当館には駐車場がありません。

■入館料  一般600円、大高生500円、中小生400円、団体20名以上・65歳以上・障害者手帳をお持ちの方とその介添えの方各100円割引

■主 催  長谷川町子美術館/フジテレビジョン

■問合せ  長谷川町子美術館TEL.03・3701・8766 FAX.03・3701・3995

■参考URL コチラ

 












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